暗黒神話 (集英社文庫(コミック版))

暗黒神話 (集英社文庫(コミック版))

ぼくとフリオと校庭で (双葉文庫―名作シリーズ (も-09-01))

ぼくとフリオと校庭で (双葉文庫―名作シリーズ (も-09-01))

古本屋で100円で買ったんだけど、よかったよ。この人の漫画初めて。
前者の迫力は何だろう。日本古代の史実とか、仏教に関する事柄が極めて動的な契機になっていると思うのですが、単なるロマンチシズムに基づくものではないでしょうね。そういう側面のあることを否定しはしませんが。題材そのものの迫力、そのとてつもない大きさと、人間の歴史の繰り返し、そのはかなさ、惨めさ、悲しさとかの対照があるように思いますが、「暗黒神話」というタイトルの示唆するところはちょっとなかなか掬えないです。
 
後者は短編集で、お腹いっぱい。
「ぼくとフリオと校庭で」「影の街」は子どもの不気味さ(大人は子どもが怖いです)、「城」はまさにカフカのそれのような、機構にどうしようもなく組み込まれる、その「どうしようもなさ」、「蒼い群れ」はフーコーぽいのかな?医療福祉という国家の戦略、制度、そこに含まれる人間の身体や精神のミクロが、実は国家を駆動して相互的である、というような。他も「鎮守の森」「沼の子供」「流砂」「黒石島殺人事件」など、人間のえげつない面が描かれる、後味の悪い作品がたんまりで、ぐったりしたい時にはぴったりですね(韻を踏んで明るくしようとしました・・・)。