東西不思議物語 (河出文庫 121A)

東西不思議物語 (河出文庫 121A)

秘密結社の手帖 (河出文庫 121G)

秘密結社の手帖 (河出文庫 121G)

前者は新聞日曜版の連載ということで、テンポもよく。
洋の東西の不思議なお話が対照的に語られます。
出典も様々。不思議を不思議のまま、そのままの魅力を照らしつつも
該博な知が縦横に関連付ける、といった体だろうか。
 
後者も膨大な知の集約といった風。
フリーメーソンすげー!ってこんなこと言っていいのか。
冒頭から引用。

秘密結社をして真に秘密結社たらしめるものは、この入社式と呼ばれる特別の儀式なのである。(太字傍点)

秘密結社というものに、なにか奇怪な、謎めいた、陰謀団のような暗い性格がつきまとうとすれば、それはこの入社式の、芝居がかった秘密性のためであると言ってよい。

この定義は結構独特だと思う。やはり秘密結社には、その教義やら行動やら自体に秘密めいたものがあるのでは、と考えるのが自然ではないかと思うからです。この本で扱われるのは、宗教的、政治的、魔術的といった様々な結社で、その出自、地域も多岐に渡るもので、確かに一通りそれぞれの入社式にスポットがあてられていはしますが、これに関しては著者自身の並ならぬ独特な考えがあるとみてよいのではないか。それは「秘密」ということでどうしても変容させられてしまう何か、あるいはそういったものの変容を強制してしまう「常識」とか「自然」というものの制度性についてではないだろうかと。秘密が秘密である事の容易ならざるに敏い著者像を浮かべてしまいます。