#25

yomayoma2006-07-13

夏至からこっちは気分が落ち込む一方だ。
夕暮れが押し迫ってきて、
幼い僕はよほど時間を巻き戻したくなったものだが、
まるでシークエンスの悪い夢のように、
透明の汚泥の中を泳ぐような倦怠感、
ずぶずぶ紺色になっていく空がうらめしい。
雲一つないのがまた一層うらめしい。
一歩一歩確実に太陽の勢力は離れていくのだ。
そんな中、山口県の上空、成層圏から、
ほんの一瞬間だけまだ夜ではないという享楽を
東の大都会に向けて自慢げに送るのか。
まだ見ぬ宇部の上空から、君がいる大都会へ。
 
緩慢な側溝の流れ、
水底に揺れる青藻をいつまでも見ていた。
鼻を甘くくすぐる草いきれの匂いを、
聴覚神経を脅かす得体の知れない羽音の飛来を、
なべて五感の成長史をほったらかして、今、
蚊柱をはしこく避ける技術の獲得に汲々としている
君がいる。
 
日は完全に暮れてしまってもうほとんど何も見えないが、
それでもシルエットで言い当てるよ、
今の君には17歳のうさちゃんピースがある。