#19

こんこんはじっと見る。
俺は穴が開いた。
こんこんが人をじっと見る
人をじっと見るこんこんをじっくり観察してみるといい。
その場合の99%、相対する人の人格を
パーソナルを、彼女は食らっている。これは勿論抽象であるが。
今俺をじっと見ているこんこんは残りの1%で、頗る怒っている。
俺が勝手にこんこんのパンプキンパイを食べたからだ。
こんこんのパンプキンパイ。
誰かの何か、という事柄の不思議は、所有の不思議である。
しかし、こんこんのパンプキンパイ
有史以来これほど説得力に満ちた所有があっただろうか?
我々は所有の意味をそれ程きちんと知っているわけではない。
けれども、こんこんのパンプキンパイと言われれば
オイラーの定理とか
ナポレオンのアルプス越えとか
ゴリラの鼻くそとか
と並列的に想起される、もはや人類の所産であるような
所有の代表格であると、言っても言い過ぎではない。
それで問題は、残りの1%であるこの事態
つまりこんこんが怒ってる事態、
大体こんこんの怒りの99%は食に関する些事が原因であり
つまり1%のうちの99%が今のこの事態であるが
加えるに、彼女が所有する食べ物が食べられたことによる怒りは
その内の5%、更にその対象がパンプキンパイであるということは
そのうちのたった1%なのである。
よって1%のうちの99%のうちの5%のうちの1%であるからし
と筆算していたらどうも下半身の感覚が鈍磨していて、
確認しなくても分かるのだけれど、彼女はどうやら俺を足から
食すことにしているらしい、さすが低い確率が重なると
命を落とすようなサプライズが起こっても、不思議でない、むしろ納得だ。
人はこんこんのパンプキンパイを勝手に食べるべきではない。