かめいのかはんしん#11

2月がやけになって降らせた雨に打たれた梨華ちゃんが俺の部屋の戸を叩くから、そりゃしょうがないじゃないですか、なるようになるみたいな、とりあえず体拭くなり風呂入るなりココア飲むなりって一連のセレモニー、ああ梨華ちゃん泣いてるよ、何でないてる?ってたずねても声にならない、そんなこともあるでしょうよ、じゃあ話すこと可能になるまで待ってみるかって忍耐力ぽいけど実は梨華ちゃんが泣いてたら男子ならもうそれはひょっとしたら全部抱きしめて慰めてあげられるかもしれない、そんな淡いながらも強固な期待だったりするんだよね。
さて「唄がうまく唄えないの」なんて梨華ちゃんがぼそぼそ言い出したらどうしますか。えーーって言うよね、驚愕。そんなあなた今更ゴニョゴニョ、言葉にならない。梨華ちゃんの唄いいよ、個性的で、病みつきになってる人多いよ、難聴になってる人多いよって。だってほんとじゃん。梨華ちゃんコペルニクス的転回をアイドル歌唱のレベルで行なったんじゃん。すげーじゃん、フランク・ザッパみたいにポピュラー音楽史に残るよきっと。「そうかな」「そうだよ、自信をもちたまえ」それでまだ乾ききってない梨華ちゃんの頭のてっぺんをよしよしってなでてあげたり、ほっぺたを指でプニプニしてあげたり、軽くハグしたりさあ、うんいい感じなんて思ってたら、じっとこっちを見てるみきてぃが目に入っちゃうのよね。それでみきてぃはちょっとショボーンとしてるの。ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ。そういうやむにやまれないハロプロ複合的困難な状況に置かれたいんだ、俺は。