かめいのかはんしん#1

かめいのかはんしん

エキサイティング！
年明けて二日、近所の餃子の王将で晩飯喰らおうと思って
店に入ったらエキサイティング！
一問目のシルエットクイズの時点、早押しコンマ5秒で
その正体見破られちゃうぐらいのヤクザofバリバリ田舎チンピラヤクザが
（二問目はヴォイスチェンジャーでヒントを喋る予定だった）
混みあってる店内で怒号。怒号。みんな唖然騒然。
込み合う店内、席取り順で彼は不都合を感じたらしく
更には店員の対応にも不都合を感じたらしく
頭から湯気をポッポと出してわめきちらす、メンツパワー全開、
そして怒りメーターは見る見るエスカレーション。
僕はキレイに回れ右してよほど店を出ようかと思ったけれど
紺野あさ美ことあしゃこがすでに臨食態勢だし
何といっても自分一応男の子ですので（頑張れ男の子！）
ちょっと余裕をかましながら、あしゃこをエスコート、
田舎ヤクザを絶えず視界の端に入れつつカウンターへ滑り込んだ。
結構近いよ、半径2メートルのバリヤー張りたい。
あしゃこと一緒にバリヤーの中で食事がしたいんです
ささやかな願いじゃありませんか。
正月の雰囲気にふさわしくない、ドッキドキLOVEメールなみに
ドッキドキしちゃってるよ。このドキドキは何故止まらない！
注文取りのお姉さんに「醤油ラーメン定食」って言おうとしたら
すげー声が震えてる、ってか別に「醤油ラーメン定食」なんて
食べたくなかったんですけども、ヤクザの振る舞いに気が気でなく
喉が勝手に喋ったっていうか、フロイト的無意識。
「ショウユラーメンテイショク」すごく空ろに響いたわ。
　
ヤクザ！
食物が鉛みたいにドスドス胃の腑に落ちていくのを
感じつつ、ヤクザの行動を逐一野鳥の会の方々の如く観察しつつ。
好都合なことに双眼鏡がなくても充分毛並みまで確認できます。
ややや、出た！あしゃこ！出た！
いやいいんですいいんですそういうのって人それぞれだから
食事のスタイル、たっぷり咀嚼、何度も反芻って反芻はさすがに
しないけど、あしゃこのペースで全然構わないのですよ。でも僕は
はっきりとここで宣言したい。早くでませんかこのお店、
今宵お月様もキレイだし。いやぁあしゃこの方がそりゃお月様より
断然、キレイ、ですけどもエヘヘへへ。エヘヘヘヘじゃない！
嗚呼あしゃこかわいい。そのレンゲの天津飯の一掬いになって
あしゃこのほっぺたに侵入したい。いやそんなこと言ってられないよ！
だって件のヤクザが客にも絡み始めてるもの！
「うるさいって言ったの誰だ！」って。
皆口には出さないまでも思ってるよ。メンツパワーあなおそろしや。
　
ＫＡＮはいみじくも「君のために死ぬつもりはない」
って唄ったんだっけ。
僕はどうだろう。この暴漢的ヤクザが我々を襲わんとしたら
僕はあしゃこのために死ねるのだろうか。
　
でもそう、僕はパッとわかったんだ、
あしゃこがえもいわれぬ顔で
「ん〜、ん〜〜〜」
ってその口の中のおいしさをこの世のみんなに
開陳した瞬間、わかったんだ。
そう、そうだよ、こんなあしゃこを守るためには
男は死をも厭ってはいけない、ってね。
僕はあしゃこの咀嚼する横顔の美しさを（まだ食べてる）
しっかり眼底に焼付けて立ち上がり、
暴漢的ヤクザに向かってこういった。
　
「おいヤクザ、表に出ろ、月がとてもきれいだぜ」
　
　
後ろからは「ん〜、ん〜〜」ってまだ止みそうにない。
　

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ヤクザ怖かったです。新年早々。
ほんと勘弁。「事務所来い！」って言ってた。
まさかそんなステロタイプなって思うけども、言ってた。
いやヤクザのことなんてほんとはどうでもよくて。
ただただこんこんはかわいいなぁ
こんこんとお食事いきたいなって話なんですけど。