裏・目と目があったらミラコー
俺は懺悔をしなければならない。懲戒の部屋へ幽閉されねばならない。おっぱいです。いやおっぱいであり乳房である、あいぼんのそれ。いや見ようと思って見たわけじゃない。一生の不覚だ。ほんと不可抗力ってこういう事態を正当化するには便利だけれど不可抗力以外の何物でもないんだ。いやこれが俺の本性なのか。性。いやいやおっぱい人であるということは無論自覚していたけれども。けれど何というか、おっぱい人もモラルだったり理念だったり、そういう生きる指針みたいなのを持つべきだと思う。思想的おっぱい人ってかっこいいじゃないか。かっこいいからなんだ。ともかくだらしないおっぱい人にはなりたくないよ。俺は失格だ。でも不可抗力なんだ。慣性の法則とかエントロピーとかマーフィーの法則とかそういうのと同じだ。といってもおっぱいそのものを見たわけじゃないよ。そのものを。胸元に目がいった。コンマ5秒ぐらいの攻防戦だよ。日常にそんなのいくらでもあるじゃない。ねぇ。違う。あいぼんのおっぱいは違うんだ。あいぼんのおっぱいだけは違う。或る種の禁忌だろう。聖域といいますか。それはまさに握手のときに起こったのだけれど、ほら握手するでしょ、そしたらお辞儀してくれるでしょ、そしたら胸元がほらチラッと見えるじゃないか。アビラウンケンソワカ!あいぼんは気づいたね。俺の視線。あこの人おっぱい見てるって。ちょっと気まずかった。これが俺の過剰な自意識。
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握手はのの→あいぼんの順でした。
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「のんちゃんこんにちは」と仕掛けた。「のんつぁん」と言わなかった俺を評価してくれ。それはメンバー内の記号だろうから、と考えたのだった。コシャクな。「のんちゃんこんにちは」小さい手を優しく握りながら両の目を見る。すると「こんにちは」と小さな声。口の動き。その両の目は恐ろしく大きい。ののの目に俺が映る可能。そして俺はちょっと間をもたせながら「ガッタス優勝おめでとう」とゆっくり口にした。その時のののの表情を俺は海馬に焼き付けた。「の」が5つも連続したが、こうだ。少し茶色がかった黒目が優しく焦点を結ぶ、「ん?なんですか?」と垂れ気味の目じりが言う。人懐こく話に耳を傾けようと試みる柔和で素直な表情。
この画像のののの目の表情がその瞬間オーヴァーラップした。
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ハイヤーで会場を去る二人を見た。
二人ともサングラス。
ののは談志だった。