ひとみさん

yomayoma2005-04-12

幼馴染のひとみが二十歳になった。
男勝りとまでは言わないけれど
おっさんというかあんちゃんというか
ともかく「男」なキャラをまとって
女の子にもてたりしてる。なんてヤツだ。
ここ一年はフットサルに興じてるらしく
ユニフォーム姿をよく見かける。朝練とか
行ったり。つうか俺かなり気にしてるぽい
けれどそんなことない。幼馴染は幼馴染。
 
桜の盛りが過ぎる。今年はちょっと遅いな。
ひとみの誕生日といえば、花見の桜のイメージだ。
だからといって何ということもない。ただ覚えてるだけ。
そんなステレオタイプな主人公の俺がためつすがめつ
窓外の桜を眺めていると、階下で呼び鈴が鳴る。
誰もいない家、居留守を使ってもいいのだけれど
話が進まないから、しょうがない、よたよたと
階段踏んで、ドアを開けるとひとみの顔。
 
その時俺は急速に思い出していた。「私が二十歳になったら」
「私が二十歳になったら、『ひとみさん』って呼んでくれる?」
 
春の香気の中、5文字の振動。
「ひとみさん」
彼女の頬がパッと桜色に染まった。
 
幼馴染のひとみが二十歳になった。
 
 
 

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よっすぃ誕生日おめでとう