自由主義の再検討 (岩波新書)

自由主義の再検討 (岩波新書)

リベラリズム自由主義として西洋近代で結実するもの、その三つの側面、政治的自由、経済的自由、道徳的自由の成立を概観し、その内でも他の二つを包含してしまう力を持つに至った経済的自由=資本主義、市場主義に対する批判としての社会主義思想についてと、その失敗の実際を(93年に書かれた本)、更には80年代アメリカでの自由主義に関する新しい論争、リバタリアニズムコミュニタリアニズムの勃興から、現在どのような「自由」がありうるか、あるべきかを検討してる本。
部分でしかないけれど二点、人間の本性というもの、特に人間性の根本の倫理的道徳的な部分をわれわれはどのように設定すればいいかということと、デカルト以降の近代的自我と、言語共同体に構成される社会的自我を個人の両極として認めて差し支えあるだろうかということ。印象論だけど、前者の自我は後者に解消するには重い。