やぐ試論3

yomayoma2005-04-20

やぁやぁどうもやぁどうも、高田渡死んでしまったなぁ、合掌。と言っても、彼のヘビーリスナーでもない私、じゃあ何で冒頭において死者の死に軽々しく触れたりするんだよぅ、不謹慎プンプン。嗚呼何だかキレがない。膀胱が老いた感覚だ。
 
閑話休題としてここで一つのろけ話をさせてくれ。のろけ話といってもシンプルなものじゃなく、つまりのろけの為ののろけではなくて、私にもまだ分からないサムシングを志向している代物、そして妄想がそこそこの割合で混入されている代物なのですよ。さりとてフィクションと言い切ってしまうとこれまた違うのだ。とにかく全身全霊で記す。
 
私は去年の夏、矢口真里とハワイで握手をした。それはモーニング娘。ファンクラブツアーにおけるイベントの一環で、参加者であるヲタからすれば目玉にして有終の美、気合入りまくり、元を取れ取れ元を取れといったような、貪欲な、人間の何たるかをあからさまに発揮させられる一事なのであった。出発前、かくいう私は五老峰の滝に打たれながらぶつぶつとこうつぶやいていた。すなわち「全生命を賭して全員と握手すべし、さもなくばココナツで脳挫傷あるのみ」、そして「矢口真里に告白すべし、さもなくば今後常にバタやん(田端義夫)より高くギター抱えるのみ」と。果たして、私はその二つに成功した(一つは怪しい)。さて。
 
 
私(握手しながら)「真里さん、好きです」
 
やぐ(握手しながら)「・・ありがとうございます」
 
 
うむ、字面から判断すると典型的な負け戦ではないか。負けとか。じゃあこの場合勝ちは何だろうと、なんなんなあにの何だろうクンが言った。つまりさ「わお、嬉しいです」とか「私(おいらではないところがポイント!)もです」とか、そんな風に言われたら勝ちなのか。そんな馬鹿なことがあってたまるか。いやちょっと待ってくれ、私が言いたいことは別にある。
 
先述したとおり私は全生命を賭したのである。殊対矢口戦においては、この瞬間に人生の半分を置いてこようと決めていた。思うに全部と言わないところが私の賢さだった。どうでもいい。つまるところ本気の告白だったのである。ここからは妄想。
 
やぐは本気で返事してくれたのであろう。それは「・・ありがとうございます」という言葉で表出したのだ。その内実は「ごめんなさい」である。うひょ〜振られてやんの!ポイントはここだ。一介のヲタにすぎない私に彼女は本気で返事をしてくれた。本気の人間に本気でぶつかってくれたのである。
 
私はあの瞬間の彼女の真剣な美しい表情を決して忘れない。ところで、どんな人生にもパースペクティブがあるだろうと思う。人生におけるプランク点、ゼロ記号の瞬間からそれは広がる。私にとってのその瞬間はまさに彼女との握手にあった。交換の端緒。価値を価値付ける瞬間。
 
ここに来て私は気づいた。こののろけ話は矢口真里を称揚する為ののろけ話なのであった。彼女は美しい。女として人間として。